Forestrek NISEKO Nature Guide
2008年7月 1日
神仙沼の静かなる攻防

神仙沼はすっかり初夏の様相、ヒオウギアヤメやエゾカンゾウが咲いています。

ワタスゲの穂やコツマトリソウの可愛らしい花が咲いている中、湿原をよーく見てみると、モウセンゴケという小さな小さな植物があります。

コケといってもちゃんと白い可愛らしい花を咲かせる草花です。が、食虫植物の一種なんです。

神仙沼のような高層湿原では低温と貧栄養の土地のため、一部の植物しか育てません。
人間が一歩足を踏み入れるだけで植物は再生不能なダメージを受け、その脆弱な土地自体も大きなダメージを受けます。


そんな脆弱な湿原内の植物たちは、過酷な生存競争を繰り広げながら、湿原の僅かな栄養を蓄え、花を咲かせ、次世代を残すのに必死になっています。


このモウセンゴケは、そんな湿原の貧栄養を小さな昆虫から補っています。
今日はそんな植物の捕食シーンを見ました。

トンボをその粘液で見事に捕らえ、無数の毛で包み込み、消化吸収していきます。

しかも、驚くことにこの植物は、きちんと“食べ物”を見分けることができます。
雨滴や風に揺れる葉っぱには反応せず、窒素を含んだ“生き物”に反応し、取り込んでいきます。
そんな狡猾な面があると思えば、数cmの小さな背丈では他の植物の陰になればあっという間に駆逐されていく、という、とっても弱い一面も持っています。

食虫植物というネーミングとこの捕食写真では、少し奇怪で気味悪く感じるかもしれないけど、この過酷な環境のなかで必死に生きる姿に、少し感動しました。