2020.9.29 16:40

「クズあれこれ」

クズは日本全国に分布する植物で、山野の明るい場所に生えます。
北海道では少し偏った分布をしていて、道央から道南の海岸部が主な分布地で、内陸部では札幌~千歳あたりや洞爺湖周辺・旭川周辺で見るくらい。ニセコではほとんど見ない植物でもあります。
道東や道北の大部分では、そもそも見ることのない植物です。


しかし本州では道端だったりちょっとした空き地にわさっと生え、一面のクズ畑、といった風景も見られます。
そんな旺盛な繁殖力から、かつて日本からクズを移入したアメリカでは、今や「ジャパニーズグリーンモンスター」などと呼ばれ、緑の砂漠を作り出す侵略的外来種となってしまいました。


とはいえ日本ではれっきとした在来種。
(北海道の一部を除いて)どこにでも生える身近感から、日本人にとっては古くから様々な利用をされてきました。


秋の七草を初め、根からでんぷんを取る ”葛粉” が有名でしょうか。
”葛布” はで今でも静岡県掛川市の特産となっているし、”つる” は縄として古くから利用されてきました。
根は ”葛根(かっこん)”、花は ”葛花(かっか)”と呼ばれる生薬にもなりますね。
地域によっては若葉を天ぷらにして食用にしたり、”朝縄夕藤” なんて言って信仰(戒め)の対象にもなったりもします(朝藤夕縄の記述もあり)。


私も小さい頃には、おやつ替わりに ”くず湯” をよく食べた(飲んだ)記憶があります。
我が家のくず湯は、葛粉(当時はおそらく片栗粉で代用していたと思いますが―)に砂糖を少しだけ入れ、お湯で溶いただけのもの。
今聞くと、ずいぶんビンボーな感じもするような…。
我が家は特に貧しい生活だったわけではないと思いますが、小腹が空いたらくず湯を食べる、ということが多かった気がします。
これが ”くず餅” になると、きな粉や黒蜜なんかが高級菓子感を一気に醸し出し、たまに買ってきてもらうと大喜びしたものです。
懐かしい。


こんなあれこれ話しを思い出すクズの花が、キレイに咲いてました。


200908-13.20.50_0001.jpg

自然のおはなし
「奥入瀬渓流シダハンドブック」
「トラツグミの越冬」
「新ツアー」
「管理と維持の実状とこれからのひとつのカタチ」
「クズあれこれ」
「キビタキのディスプレイ」
「器用なカケス」
「春?じゃない…はず」
「ゲジゲジシダ顛末記」
「さっぽろ野鳥観察手帖」
「遊歩道のあり方を考える」
「エゾエンゴサク」
「植物から学ぶ」
「“ハマる” 難しさ」
「バイケイソウあれこれ」
「登れない山」
「いつまでたっても」
「巨鳥」
「スギラン」
「ハルニレ林」
「オカダモ」
「キオンとヒトツバハンゴンソウ」
「比べるシリーズ」
「ヒルナンデス」
「嬉しい出来事」
「盛りだくさん」
「ヤブキ用語」
「アライグマ」
「フクジュソウとシャク」
「クマゲラ」
「サクラソウ色々」
「図鑑ネットサービス」
「クマにご注意」
「蚊と色の関係」
「キバナコウリンタンポポ」
「マキノスミレ in北海道」
「水恋鳥」
「カタクリ~実生」
「古道をゆく」
「雪の中の紫外線にご注意!」
「コクマルガラス~声など」
「コクマルガラス」
「カワガラス」
「図鑑のための図鑑」
「ハクチョウとキツネ」
「ニセコのオジロワシ」
「しだまとめ」
「はなまとめ~2」
「はなまとめ~1」
「とりまとめ」
「顔パスで」
「シダ見」
「耳かき草」
「早春の鳥見」
「古道」
「Ftre掲示板開設」
「コガラとハシブトガラ その2」
「コガラとハシブトガラ」
「今年を振り返る~植物編」
「今年を振り返る~動物編」
「黄釣舟」
「サイシンあれこれ」
「黄から紫へ」
「夏の自由研究?」
「予習もおススメ」
「続・ ? 」
「雪の降る夜は・・・」
「虎落笛」
「秋の声」
「ハズカシながら・・・」
「宵待草」
「朴の花」
「魑魅魍魎(ちみもうりょう)の森」
「鳥・撮り」
「道標(みちしるべ)」
「雁風呂」
「雪虫」
「シジュウカラとゴジュウカラ」
「春の声」
「かくありたい」
「写真集2(失敗編)」
「そらとくも」