2017.2. 5  9:29

「サクラソウ色々」

サクラソウの仲間たちって混乱しやすいグループです。
名前と花姿が似ているものばかりなので、どれがどれだか、ゴチャゴチャになっちゃうパターンですね。
しかも、どこでもしょっちゅう見る植物でもないので経験値もなかなか上がらず、いつまでたっても混乱地獄から抜け出せない、という人もいるのではないでしょうか。


かくいうワタシも数年前まで、この仲間を見るたびに
「コイツはなんだったっけなぁ~。何度も見ているんだけど……」
と、なっていました。


ちなみに、
『写真撮って、家帰ってから調べりゃいいじゃん』
ではないのです。
家に帰ってから分かることと、現地で分かることには、大きな違いがあるものです。
現地で分かった方が、見えてくるものが広がるものですから。


こちら、サクラソウ科の “まさに” サクラソウ。
(こういう時は、「Theサクラソウ」と言うと、ツウっぽいですよ)
2016-05-09%2011.517.26_096.jpg

葉はサニーレタス系(または、チンゲンサイふう)で、大雑把な重鋸歯になってます。
(↓葉だけのサクラソウ)
2016-05-09%2011.49.35_087.jpg


《参考》重鋸歯とは・・・葉の縁の形状を “鋸歯” (きょし)といい、ひとつの大きな鋸歯の間に細かい鋸歯があるような形状のこと。二重鋸歯ともいう。(→「写真で見る植物用語」より写真で見る


こっちは同じサクラソウ科でも、名前はクリンソウ。
葉は同じくチンゲンサイふうだけど、サクラソウのような重鋸歯になってません。
また、沢沿いなどの湿っぽい所に多く、群生する傾向にあるかと思います。
P6140035.JPG

花が輪生状に咲くのでクリンソウ。
だけど、花に目を引っ張られずに、葉をキチンと観察しましょう。
違いが見えてきますので。
(↓葉だけのクリンソウ)
100824%20058.jpg


このチンゲンサイが小さくなり、“ヘラ型”の葉となると、「○○コザクラ」といった名前のサクラソウになることが多く、ユキワリコザクラやらソラチコザクラ、エゾコザクラなどなど。
(↓ソラチコザクラ)
2014-05-10%2011-43-23.JPG


さらにこちら↓は、オオサクラソウ。
サクラソウと花が似ていて背丈も似た感じですが、サクラソウとは葉の形が違っていて、サニーレタスやチンゲンサイふうではありません(円心形)。
葉の大きさはサクラソウの方が大きいので、サクラソウの方がしっかりとした印象がします。なのに、こっちがオオサクラソウですので。
オオサクラソウは花が円形について、“花つき” がいいからなのでしょうか。
2013-05-17%209-05-07.JPG


オオサクラソウに似てますが、茎に毛が多いエゾオオサクラソウ。
110601%20094.jpg


こちらはサクラソウモドキ。
局所分布のため、そう見るものではありません。とりあえずは無視してもいいかも(?)
2016-06-10%2011.53.34_104.JPG


これら円心形の葉を持つサクラソウの仲間には、他にヒダカイワザクラの「○○イワザクラ」もいます。
だけど、ヒダカイワザクラの変種はカムイコザクラで……あれっ?「○○コザクラ」だ(笑)
(↓ヒダカイワザクラ)
110601%20246.jpg


ヒダカイワザクラは、別名アポイコザクラとも言い……イヤぁぁぁ~。
ふぅぅ~。


これらをただ図鑑とにらめっこして覚えても、面白くもないし、覚えられるものではありません(少なくとも、ワタシの頭では)。


これらすべてが同じような環境に、同じような個体数で生えているわけではないので、やはり「生育環境と生え方」を実際に見て、整理をつけるのがイチバンです。
生育環境も生え方もそれぞれが違い、花姿も違いますから。
そのためには『数多く歩き回って、数多く見る』しか、テはないかもしれませんね。
そんな過程も楽しいものです。。。きっと。
って、ここまで読ませておいて、何の解決策にもなってませんが(^_^;)


ある日突然、ふと気づいたらいつの間にか頭が整理されていて、出会った時に何の違和感もなく名前が浮かんできた時にはもう……そりゃ、ウレシイものですよ。
そんな妄想の元、自然散策にいそしんで下さいマセ。

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