2012.5.29 11:12

「魑魅魍魎(ちみもうりょう)の森」

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この時期、どんよりと曇った日や暗~い夜の森の中から、
「ヒィィ~ん・・・ちぃぃ~ん・・・・・・」
「フィィィィ~ン・・・・・・・」
という、か細い音が聞こえます。


先日の講習会で、
「不気味な音が森の中から聞こえるんですけど・・・」
という質問がありました。


確かにこんな音が真っ暗な森の奥から聞こえてきたら、それはそれは不気味でしょう。
まさに魑魅魍魎の交わす声のよう。




正体は「トラツグミ」という鳥の声。(→トラツグミの声mp3.


いにしえの人々にとっても、この声はさぞかし不気味だったようで、
それは、「鵺(ぬえ)」という妖怪の声とされていました。


「平家物語」では、その姿は、頭が猿、体は狸、尾は蛇、手足は虎とされる、たいそうな妖怪。
鳴き声を聞いたものの心を憑き殺し、魂を喰らうとされています。


平安の世で帝を守るために、源氏一門で武勇の誉れ高い源頼政が退治した妖怪も鵺でした。
都で討ち取られた鵺の死体は今の静岡県に落ち、その頭・胴・羽・尾が落ちてきた地にはそれぞれ、
鵺代、胴崎、羽平、尾奈、という地名が残ったほどです。


その後の「太平記」では、、口から火を吐く人首蛇身の怪鳥、と紹介され、
黒雲を身に纏いながら徘徊する、という見事な復活も果たしています。


さらに近年では、映画「悪霊島」で、
“鵺の啼く夜は恐ろしい”
というフレーズが効果的に使われています。


いつの世でも、暗雲に乗って空を駆け巡り、凶事をなす正体不明の妖怪だったのです。




トラツグミの生態を調べると、
「里の丘陵から低山帯の山地の、暗い広葉樹林や針広混交林に生息」
とあります。


また、色々な文献や伝説を読んでも、昔の人々にとって妖怪と “恐れられた” この鳥の声は、
“畏れられていた” ようにも感じます。
それだけ人の住む里山に生息し、よく声が聞かれた鳥です。



しかし今や、深山幽谷の鳥のイメージ。
そんな妖怪(?)の声も、以前ほど頻繁に聞くことが出来なくなっているような気がして、
残念でなりません。


こんな魑魅魍魎が跋扈する森がいつまでも残されるよう・・・。

2012.5.28 13:57

出張観察会

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今回は道北へ出張しての観察会。

夜は講座、朝は観察会、の、2泊3日の盛りだくさん。
毎年お招き頂いております。


今年はいつになく寒く、雨の中の観察会でしたが、
参加者の方々はいつものことながらモチベーションが高く、
皆さんの地元の自然を「へぇ~」と、見つめ直していました。


せっかく来たので、帰る前に個人的にフィールドワーク。
ニセコとは違った自然環境に、ワタシも「へぇ~」なのでした。

2012.5.24 17:59

道端も

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ここ数日は植物調査のお手伝いで歩きまわってました。

しかも対象の植物は、林道脇だったり農道脇。道端も含む!
一般的には「雑草」でひとくくりにされちゃうようなものも多数。
いかにも北海道の森、というよりか、どこにでもある自然環境なんです。


しかしワタクシ、そんな場所が好きなんです。
高山植物や花に詳しいガイドはたくさんいますが、道端の草を見れるガイドは
なかなかいない。
そんなところにも、存在価値を見出していて、ここ数年勉強中。


しかし、同じガイド業界内ですら同調してくれる人も少なく、
お客さんのニーズもほとんどないところ・・・。


でもでも、身近なありきたりの自然だからこそキチンと見られるようになりたいな~、
と躍起になっております。
ほとんど個人的趣味なんです。


※明日から、道北へ出張観察会へ出てます。3日ほどで帰ってきますが、
メールなどの反応が少し遅れるかもしれません。よろしくお願いします。

2012.5.20 10:01

終了!

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今年の鳥見の会の全日程が終了!
最終回の今日は、
「朝早くの森の中は、鳥の声だらけで別世界ですよぉ~」
という理由で、朝の5時からの実施。
ほとんどワタシの趣味に付き合ってもらったようなモンです。


ガイドツアーで朝5時スタートって、あんまりないですよね~。
にもかかわらず、10人ほど地元の方々が参加して下さいました。


様々な鳥の声を実際に聞き比べたり、声の特徴を見出してみたり。
耳を澄ませながら歩くもんだから、ある意味静かなツアーでした(笑)


鳥を通じて自然環境全体を見て、ニセコの自然の特徴を知り、そんなところを気にしながら
日頃の自然散策にちょっと楽しいエッセンスを。
そんな鳥見の会なのでした。

2012.5.19 11:07

遠征観察会

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「地元の方々向けに、鳥をはじめとする自然観察会を開いてくれないか」
とのことで、昨日・今日とニセコから一時間半ほどの海沿いの町へ遠征。


ニセコとはまったく違う環境での観察会は、ワタシとしてもとっても勉強にもなり、新鮮です。


一日目は、鳥を見たり・自然環境を読み取る楽しさを、遊びながら・雑談的に話しながらの講座。
次の日の朝からは、実際に近所の何気ない河原を歩きながら、鳥を見たり、植物を見たり、
地元の自然環境を改めて見てみたり・・・。
毎日のように見ている環境も、見方を変えてじっくり目を向けて気付いてみると、新鮮なものです。


そんな体験から、地元の良さを再発見してもらったり、何気ない散歩が楽しくなるキッカケになったら、
ワタシとしても嬉しいかぎりなのでアリマス。


「The北海道!」的な大自然でなく、近所の道端の自然での観察会はやたらとムズカシイ分、
やりがいたくさんでした。
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2012.5.14 17:13

春のさえずりと花の中・・・

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天気のいい昼下がり、時間が空いたので、ウチの奥サマと “二人鳥見の会”。
近所の公園を2~3時間ほどブラブラしてました。


天気もよく、花がたくさん咲き、鳥の声がいっぱい。
「眠くなっちゃうね~」 と、気持よ~く歩いていると・・・、
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って、歩きながら寝てる!
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「こどもじゃないんだから!オラオラ!」
と喝をいれて、またしばらく歩き・・・


・・・ふと振り返ると、
「やっぱり寝てる!」
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「しょうがない・・・ベンチで小休止するか」と言った矢先・・・
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Zzzz・・・・・・
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春は気持ちが良くて、眠くなるようです・・・。

2012.5.13 21:33

鳥見の会

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昨日・今日と鳥見の会の日。
昨日はニセコから一時間ほどの洞爺湖で、今日は羊蹄山麓での実施です。
両日とも、地元の自然好きな方々が参加して下さいました。


洞爺での会では、ニセコとの自然環境の違いを読み取りながらの鳥観察。
ブラブラゆっくり歩きながら、時にはじっくり立ち止まりながら、
鳥だけでなく植物も含めて大きく環境を見てみたり、ひとつの対象を細かく見てみたりの繰り返し。


季節はずれの寒さでしたが、観察した鳥は20種を越えるほど。
大サービスでじっくり見れた鳥も多数。
植物もたくさん。


こんなふうな、地元の方向けの観察会やツアーも、地道に続けていきたいところです。


↓鳥の飛んできてくれる時間に、人間が合わせてまったり中。
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2012.5.10 17:20

アタマのリハビリ

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ニセコが雪が多いせいか、植物よりも鳥の季節が先にやってきます。
今はすっかり “鳥モード” 。


知っている植物を見ても、
「あーー、うーー、〇〇・・・だったっけな?」
「あーー!!違う違う、〇〇だ!」
みたいな感じ。
アタマに浮かんでも、名前が出てこない!
シーズン初めによくあるボケボケ状態・・・。


そんな中、日頃お世話になっている植物調査員の方々から、
「植物を見に遠征しない~?」
のお誘い。


ニセコで仲の良いガイド仲間と共に、日帰り勉強フィールドワーク。


普通はなんてことない足元の植物に感動する方々(笑)
ワタシはまだこの楽しさが分かりませんが・・・楽しそう・・・。
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初めて見る植物ばかりな上、今まで鳥モードばかりだったので、頭は相変わらず整理できず、
まずは「アタマのリハビリ」が必要。
それでもとっても楽しい勉強会でした。


そろそろニセコも新緑の時期になり、植物が青々してきます。
リハビリ、アイドリング、終了させないと!

2012.5. 7 17:54

はじまり

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先週の暖かさで一気に花が咲き、数日前にサクラも開花しました。


と思いきや、ここ数日は肌寒くて、日差しが恋しい天気ばかり。


昨日は「鳥見の会」の一回目。
雨と肌寒さが続いていましたが、唯一の雨が止んだタイミング!
ワタシは少々、雨男の気もあるので、参加者の皆様の行ないがいいのでしょう。


この寒の戻りのせいか、出てきてくれた鳥の数は少なめでしたが、逆にそれが鳥の季節初めの特徴。


これから繁殖が本格化してくると、一週間でぜんぜん違う様相となります。


そんな季節感も感じながら、鳥見の会ができるといいな~、と。

2012.5. 4 18:56

「鳥・撮り」

前回は花の話題だったので、今回は鳥。
(って、いつもどおり!)


文章が長いのも何なので、写真をたてつづけに投稿です。
(って、面倒臭がっているワケではありません!)


ちなみに、写真を撮りに鳥を見に行っているわけではないので、
「点」のような写真や、失敗作付きですのであしからず。




年中見せてくれるアカゲラ。
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日本三大鳴鳥と言われる美声、オオルリ。
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こちらも美声の持ち主、クロツグミ。
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ワタシのロゴにもなっている、ミソサザイ。
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美声の皆さん揃い踏み、キビタキ。
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さらなる北帰行へ向けて栄養補給中、マミチャジナイ。
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声がキレイなのに意外に気付かれない、ビンズイ。
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相変わらず目付き悪いぞ、シメ。
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思いっきり枝かぶり。ルリビタキ(♀)。
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遠いし、枝だらけで、何が何だか・・・カシラダカなんですが・・・。
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なんで後ろ向いてんのー?カワラヒワ。
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いい時期です。

2012.5. 3 13:56

「道標(みちしるべ)」

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今まで一面の雪でモノクロの世界だった森の中が、花に彩られてきました。
今のニセコは、春の花の代表格、カタクリがここかしこで咲いています。


“春になった” といっても、まだ森の木々の葉っぱは開いていない、冬枯れの状態。
春の花にとってのチャンスは、まさにそんなタイミングなのです。


というのも、木々の葉っぱが開いてしまうと、春の小さな花々は日陰の中に入ってしまい、
太陽の光を浴びられなくなります。
降り注ぐ光の下、一刻も早く葉を広げ―、花を咲かせ―、受粉をし―、タネを作り―、やることはいっぱい。


だからまさに今の、まだスカスカの森の下で、生き急ぐように一年分の光合成を行ないます。
そして初夏、木々の葉っぱが開く頃になると一年分の活動を終え、
土の中でじっと来春を待つようになります。
そんなことから、「春の儚い命」なんて言われています。




ところで、カタクリの花を下から眺めてみると、花の中にもうひとつ花(?)があります。
これは「蜜標」というもので、ネクターガイドとも言われるモノ。


学校で習った、「虫媒花」って覚えてますか?
雄しべや雌しべの奥に蜜を配置し、蜜を舐めにきた虫の体に花粉をたんまり付け、
他の花へ飛んで行ってもらうことで受粉を行なう花の仕組み。
昆虫に蜜を提供する代わりに受粉を手伝ってもらう、いわゆる “ギブ・アンド・テイク” の関係です。


しかし、葉っぱの開いていない春の早い時期は、受粉を請け負う昆虫たちが少ない時期。
少しでも効率良く虫を寄せるために「蜜への道標」をつけて、 “蜜のありか” を教えているわけです。


とはいっても、植物にとっては蜜を作ることもコストのかかる大きな作業。
やみくもにあげたりはしません。


あまり大量の蜜を提供すると、虫はひとつの花でのお食事で“満足”してしまい、受粉の可能性が下がる。
そこで花は、昆虫にとって丁度いい(?)“不満足”な量を提供し、より多くの花を巡ってもらう巧妙な
仕組みまで備えています。




ちなみにこのカタクリの蜜標、よく見るとひとつひとつ色の濃さや柄(がら)が違います。
蜜標の柄によって、虫の来訪度がどの程度違うのかは、まだよく分かっていないトコロ。


群生する花々を漠然と見るのもキレイですが、そんなコトを知った上で、
ひとつひとつの花を覗き込みながら眺めてみるのもアリですよ。


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