2016.4.30 16:53

寒いけど

全国ニュースにもなるように、昨日・今日と寒い北海道。
ニセコでも日中に雪やらミゾレやらがパラパラと降ってました。
風もずっと強いので、も~寒くて・・・まるでこれから冬がやってくるようでした。


とはいえ、雨雲の動きを見つつ、偵察。


ヒメニラが咲いてました。
花が5mmほどしかない上に、道内では点々と分布しているだけの植物なので、意外と見る機会がありません。
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水たまりでは、ヤマガラが水浴び中。
寒くないんだろか?
(パソコンでは画像にマウスを当てて下さい)


明日からは、いつもどおりの春陽気となりそうです。
あっ、トップページ写真も更新しておきましたので。

2016.4.28 21:36

スミレ会

泊まりがけで、道南に行ってきました。
知り合いの植物調査員の方々と共に、毎年恒例の植物友の会。
たいそう楽しい突っ込んだ話しをあーだこーだと言いながら、みんなで植物探訪目的で走り回り・歩き回ります。


農道でも楽しいものです。
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エゾノリュウキンカの群落に始まり―
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赤い蕾が目立つキバナイカリソウや―
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展葉前のクジャクシダなど。拾うモノがちょっと変わってます(笑)
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ちょっとした沢にも立ち寄ります。
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実際に植物を見ながら歩いていると、まだ微妙に時期が早い感じです。
となると、予定していた場所を急遽変更し、スミレが咲いていそうな場所へ。
こんな柔軟な対応も、経験と見識あふれるマニアの方々と一緒なので即決定。決断が早い!


満開のサクラとキタコブシを眺めながら、スミレ探し。
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オオバキスミレ
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スミレサイシン
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ヒカゲスミレ
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ヒナスミレ
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ワタシ的にはこれが見たかった。3年ぶりの出会いのアケボノスミレ。
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でもやっぱりこんな枯れ草写真(笑)
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それぞれの“見方” を話しながら、たいそう楽しく、勉強になります。
やっぱり一人で見るよりも、みんなで見た方が楽しいですね。

2016.4.25 16:25

春散策

この日は地元の方のリクエストにより、ニセコから1時間半ほどの遠出をしてツアー。


ニセコとはまったく違う地域なので、個々の植物たちは全然違うところもあり・似たところもあり・・・。
地元の方々が自分たちのいつも見ている自然を再認識するためにも、こんな遠出はいいですね。


カタクリ・エゾエンゴサク・ニリンソウ・ナニワズ・エンレイソウにユリワサビ・・・・・・。
足元を見れば春の花爛漫。
上を見ればニセコとはまったく違う沢の風景。
とても気持ちの良い沢歩きで、常にテンション高めです。
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地元の勝手知ったる人たちなので、勝手に観察してくれています。いつもの放置プレイ。
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シラネアオイも咲き出しました。
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誰もいない、気持ちの良い山道をゆく。
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こちらも誰もいない海岸。気持ちが良すぎて、油断すると寝てしまいます。
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通常は行かない場所を通常は歩かないルートでご案内したので、日曜といえども出会った人は数人程度。
だけども、ただ “秘境” に行くだけではワタシ的にはツマラナイ。
ニセコにはないどころか北海道内でもあまり見れない景色と、ニセコとは違う植物・自然の姿、土地の歴史から人の生活にまで思いを馳せる、いい春散策でした。


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2016.4.23 16:25

雨でも

今日は朝から雨。
だけども春のこの季節はどんどん進んでいくので、雨具持参でフィールドワーク。
雨だろうと、シジュウカラ・ハシブトガラに始まり、アオジ・ウソ・ウグイス・ヤブサメなど鳴きまくりでした。


そして、やっぱりいらっしゃいました、王女様―ヒナスミレ。
スミレのプリンセスなんて言われています。
それにしても本降りの雨とどんよりとした雲で、暗い暗い。
「ワタシに光を~!」 防水コンデジではこれが限界です。
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タチツボスミレも少しだけ咲き出しています。
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ニセコではやっと本番のカタクリも、ここではもう終盤。
さらに今日は雨なので、花を閉じています。
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コジマさんもいました。コジマエンレイソウ。
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キバナノアマナもだいぶ終盤を迎えてますが、そんな中に・・・明らかに小さい花と線形の葉・・・。
北海道にはキバナノアマナの他に、ヒメアマナとエゾヒメアマナというものがあります。
少し違和感を感じるアマナを見ても、たいていはキバナノアマナの小さい個体。
だけどもこれはかなり華奢で、ずいぶんな違和感でした。
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葉脈間がへこむものがエゾヒメアマナとされていますが、実際はかなり微妙で……。
一応見てみましたがへこみはなく、花弁の披針形も広く、葉は粉白色を帯びず――、分布域的にもヒメアマナということにしました。
久しぶりの出会いです。
個体数はかなり少ないですが、一度キチンと認識してみると散発的にありました。


雨でもイケるものです。

2016.4.22 15:54

ニセコの山の季節感

ニセコの山麓ではやっと残雪量が数十cmとなってきて、鳥の声も盛んになってきました。


しかし少し標高を上げればまだ、3m弱ほどの雪が残っています。
当然、スキーもまだまだイケます。
今日は「アチィ~」と言いながら滑ってました。

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ゲレンデではもうあと数日で最下部までは滑れなくなりますが(リフトの下り線で降りるようになります)、上部コースではまだ十分に滑れます。


さて、ありがたいことに、夏のご予約やお問い合わせも徐々に来ています。
しかし、5月のニセコの山々にはまだ登山道に雪が残っている季節です。
遊歩道(木道)が整備されている神仙沼でも、一部で雪の上を歩く、というふうになります。
長沼・大沼・シャクナゲ沼をかすめる登山道は、雪解けの増水により7月近くまで水没していることもよくあります。


(順調に雪がなくなれば)例年ニセコ山系の山開きは6月の第一週の週末。
足元やルートに不安なく歩けるようになるのは、6月上旬~6月半ば以降となることが多いですね。


ニセコは北海道でも随一の多雪地帯。札幌よりもはるかに雪が多い地域です。
個人でニセコの山歩きを楽しまれる方は、そんなニセコ独特の季節感にご注意下さい。


ツアーは、これからの残雪量を見ながら、
「神仙沼ネイチャーツアー」は、5月半ば以降くらいから―
「ニセコネイチャートレッキング」は6月以降から―となるかと思います。
「1dayフリーツアー」ならニセコ近郊を含めて歩ける場所で催行できますので、いつでも可能です。
お問い合わせ下さい。


2010年6月8日 神仙沼遊歩道上
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2011年6月8日 神仙沼遊歩道上
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2011年6月8日 ルートが分かりにくくなる残雪を越えて神仙沼湿原に入れば、雪はありません。
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2014年5月28日 この年の5月はまだ大量の雪でした。この雪の下に、神仙沼への遊歩道が隠れています。ルート取りに注意です。
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2011年6月17日 シャクナゲ沼のほとりの登山道。増水により、登山道は完全に水没しています。
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2016.4.20 20:05

表情

鳥にも表情がありますよね。
全体の雰囲気がかもし出す表情、みたいなところ。


精悍な表情代表の猛禽類。
コイツは若鳥ですが、やっぱり精悍です(オジロワシ若)。
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こちらは先日出会ったオオバン。
“目” は見えていませんが、何か間が抜けているというか、おっとりしているというか……。
そんなふうに感じてしまいます。
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2016.4.18 16:44

「良さげなサブバック」

ワタシは山歩きをする時に、ちょっとした行動食や地図・コンパス、その他の小物類を収納するためのサブバックのようなものを肩がけして歩いています。
ツアーに参加したことある方は見たことある、アレ。


パーゴワークス:「パスファインダー」


調査仕事の時は超ハードに使って汚れまくるので、“調査用” と “ツアー用” でふたつ持っています。
調査道具のすべてを機能的に収納できてとても便利。
Lサイズなら図鑑だって(一冊程度なら)入ります。


カメラはコンデジしか持っていないので、ザックの肩紐に小さなカメラケースを付けているのですが、実は最近ずっとミラーレス一眼の新規購入を狙っています。まだ “妄想” の段階ですが。
常に先走り気味なワタシは、まだカメラ本体を買える見込みもないのに、すでに欲しいカメラバックは決まってます(^_^;)


パーゴワークス:「フォーカス」


そしてこの春、この「フォーカス」と「パスファインダー」を足して2で割ったような、「スウィング」というバックが出ました。
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パーゴワークス:「スウィング」


カメラ用のインナーバックを別売で買う分購入費用がかさみますが、シチュエーションによって使い分けができて、これはこれで良さそう。


ワタシは登山といってももう、ガツガツ歩いたり、テントを担いで3日も4日も山に入ることはそうそうしません。
ゆるめの山をのんびりと歩きながら、植物を見たり写真を撮ったりする方がいいです。
そうなると、こんなカメラバック兼サブバックも良さそうです。
荷物のない散策なら、ザックを背負わずにコレ単品で歩けば良いし。


ワタシにとっては、まだ入れるカメラを持っていないので購入する必要性がないのですが、野外を歩きながらミラーレスや一眼レフで撮影している人、試してみませんか。
試したら教えてください(^_^;)

2016.4.16 18:10

いつもの・スタート!

ニセコですら雪がだいぶ少なくなってきたので、場所をかえれば、森の中すら雪がまったくない、という地域もたくさんでてきました。
そんな森の中で花が本格的に咲き出すのはもう少し先ですが、ワタシは花がなくても宝探し歩きの毎日。
歩かなきゃ当たらないんだから、どこかしら歩きに行ってりゃいいんです。
見るものは何かしらあるものです。
「出歩くことに意義がある」的なフットワークの軽さが、ワタシの強みですんで。


秋に探しまわったものの続き。
こんなことが出来る季節になりましたね。


ナニワズがキレイに咲いていました。
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マイヅルソウはまだ葉っぱが開いてません。
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まだ森の中はスカスカなので、去年使われた鳥の巣もよく目立ちます。
現地では何だか分かりませんでしたが、形状と大きさ、巣をかける位置・巣材・環境などから調べてみたら、どうやらクロツグミの古巣のようです。
多量のコケに、樹根や極細の枝などで緻密に作られています。
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ここは、遊歩道など何もないただの森。
歩き出すにあたって林道の入口に車を止めようとしたら、すでに一台の車が止まっているじゃありませんか。
「こんな場所、誰も来ないのに珍しいな」
と思ったら、いつも一緒に歩いている植物調査員の人でした(笑)


時期的にも場所的にも、行動パターンが似ていて笑っちゃう。
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2016.4.15 14:09

「グリーンシーズンモード」

いつもは月初めにトップページ写真を更新しているのですが、今月は今日で更新。
グリーンシーズンモードになりました。


今年は2年ぶりに鳥見の会を開催します。
ページもアップしてありますので、興味ある方はぜひどうぞ。


とはいえ、今現在の残雪量を見ても、冬のツアーメニューもまだ一週間~10日程度は催行可能となりそうなので、お問い合わせ下さい。
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2016.4.14 18:45

スタート!

今年度も学校の講義が始まりました。
ということで、今日は札幌へ。


新入生たちにも初めての講義ですが、ワタシのことだから初日は大して講義らしい講義はしてません(笑)


これからの学生生活、幅広く自然を学んで、幅広い視野で仕事を考えるキッカケになるといいですね。
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2016.4.12 17:08

自然の楽しみ方のご提案~奥入瀬自然誌博物館発刊

数日前に小包が届きました。
送り主は青森県県土整備部道路課。
「はて?何のお付き合いだっけ?」と思いつつ封を開けると、一冊の本が。
表紙のタイトルを見て、すぐに合点がいきました。


『奥入瀬自然誌博物館』 ~立ちどまるから、見えてくる~
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著者の河井大輔氏は、北海道野鳥図鑑の筆者の一人であり、自然関連誌のライターとしても独自の自然観察眼と感性が光る魅力的な文章を書かれています。
さらに十和田奥入瀬の自然の魅力を紹介するインタープリター(自然ガイド)としても活躍されています。
私も奥入瀬に遊びに行くたびに、美味しいお酒を酌み交わしつつ、アツイ談義を楽しませてもらってます。
そんな河井氏がまとめた、十和田奥入瀬の自然の魅力・楽しみ方の本が刊行されました。


本を手にするとまず、マットな質感の紙の手触りと、独自の視点が光る写真の数々に目を奪われます。
まずは、ペラペラと眺めるだけでも良さそうです。


フツーの自然ガイドブックって、そこに生息する動植物の“名前”や“ルート”が主たる内容になるものです。
自然体験観光も同じように、動植物の名前や一般受けする美しい風景(展望台など)を紹介することがメインになりがち。


しかし、それだけでは自然をみたこと・知ったことにはなりません。


何気ない動植物がどのように地域の自然と繋がっているのか―、
目を引くような見た目が派手な花だけではなく、多種多様な動植物・コケやシダ・地衣類・昆虫・地質・地史、人間の営みまでもがひとつのストーリーとなり、地域の自然を作り出している―。
そんな観点が、一冊を通して貫かれています。
これは、幅広く奥深い知識と見識、それを表現する多彩な文章力がなせる河井氏の真骨頂。


ちなみにこの本は、フィールドで持ち歩いて植物を観察したりするための本ではありません。“名前”を知るための図鑑ではありませんので。
じっくりと文章を読んで自然全体のストーリーを俯瞰し、写真を眺めながら自然美を愛でるための本です。
そんな気持ちで実際の自然と対峙し、自分自身の目で自然の美と壮大な仕組みに気付くための本です。


正しく自然をみるためには、“名前”を正しく知り、“違い”をキチンと見い出す科学的な視点を持つことはとても大事なこと。
しかしひとつの視点だけでなく、それぞれの繋がりを知り、それぞれを愛でて、自然の姿に新たな気付きを見い出すことはもっと大事なことかもしれません。
そのためには、時間と観光ポイントを重視する従来の自然観光スタイルではなく、いかに時間をかけてそこの自然を知ろうとするか、という自然との付き合い方が必要です。「一度行ったからもういい」というアクティビティとは大きく違うのです。
そんな新しい自然観光スタイルをも感じさせてくれる本となっています。


こんなふうな自然観光のスタイルは、数を重視してきた既存の自然観光とは対極をなすものです。
「立ち止まって、ゆっくり過ごす」というツアースタイルも、ガイド技術の難しさの割に理解・尊重されにくい観光スタイルで、まだまだ認知されていません。
しかし、これからの自然観光はこうあるべきです。


そんなスタイルの提案をする本を、観光課でも環境課でもない「道路課」が発注・発刊するなんて、そういう意味でも先鋭的な価値のある自然ガイドブックとなっています。
奥入瀬に行ったことがある方はもちろん、行ったことがない方・行く予定も今のところない、という方も、自然好きな方であればぜひ読んでみてください。


販売は4月末以降となりそうですが、下記ホームページから購入できるようになるようです。お問い合わせを。
NPO法人「奥入瀬自然観光資源研究会」

2016.4.11  8:20

冬?

2~3日前ですが、ニセコでも咲いている花をみつけました。アオイスミレ。
ニセコでは、環境次第でカタクリなどの代表的な春植物よりも早く花を咲かせるので、あまり気づかれない花です。
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そして昨日にはニセコでウグイスの初鳴きを確認し、いつものように、「春ですね~」と言いたいところですが・・・今日は全国的に気温が下がっているようです。


そうなると、ニセコは雪。
今朝起きると、フツーに雪が積もってました。すでに10cm以上積もり、今もずいぶんな勢いで降ってます。
今まで暖かい陽気が続いていたので、「えぇぇー!今さら雪?!」と驚いてしまいます。
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だけども、終雪日(冬から春にかけて最後に雪が降った日)の平年値は、
倶知安(ニセコ)=平年値4月22日
札幌=平年値4月19日
です。
過去にさかのぼれば、倶知安=5月18日(1977年)なんて記録もあります。
まだ4月も上旬ですので、ぜんぜん珍しいことでもないのですね。
まだまだ北国は春爛漫とはいかない時期なのです。


我が家の前で高らかに春を歌っていたヒバリは、今日は静かです。
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2016.4. 9 18:39

「カタクリ~実生」

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カタクリは花を咲かせるまでに平均で8年程度かかると言われています。
となると、ワタシらが花を見て「キレイだね~」と言っている個体は8歳くらいなわけです。
じゃ、1年目や2年目以降の花を咲かせていない個体はどんなでしょう。


ということで今回は、カタクリ実生探し。

実生(みしょう)とは?
種子から芽吹いた一年目の状態のこと。実生が出す葉を子葉(しよう)という。


カタクリって普通は花が咲いてから愛でるものですが、今回は咲く前の“芽吹き”のタイミングを狙って観察です。
(なにせ、カタクリの実生は超ミニサイズなので地面に突っ伏さないと見つかりません。そうなると、咲いたタイミングに探すと場を荒らしてしまいます。まだ地面からたくさんの個体が出てきていない、くらいの時期に探すのが環境に優しいですね。)


カタクリの実生(一年目)ってこんなです↓。まだ先端に種子の殻(種皮)をかぶってます。
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サイズ感はこんな↓。茎は1mmくらいで高さ1.5cm程度(“茎” と書きましたが、これがカタクリの “子葉” になります)。
今年は葉のような形の葉は作らずに、この子葉で栄養を蓄えておしまいです。
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こちらは2年目以降でしょうか。実生の状態よりも少し成長しているように見えます。
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こうなると、葉っぱのような姿ですね。
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少しカタクリらしくなってきました。
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こうなると、だいぶカタクリっぽい。
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こうなれば、もう分かりますね。
花を咲かせるステージ(有性個体)となるまでに、上の写真のような姿を経ながら少しずつ光合成をして養分を蓄えているわけです。ここまで、平均で8年程度かかるということ。
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ちなみに、カタクリの寿命は15年以上にもなると推定されています。
個体の大きさは蓄えた養分量で決まり、種子を作ったために養分の貯蔵量が減り、また無性個体(花を咲かせない個体)に戻ることもあります。そのために、葉の大きさで年齢を推定することは困難です。


せっかくなので、“その後” もどうぞ。
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野生のカタクリの中には白い個体も稀にいます。
劣勢の遺伝子が発現したものと言われていて、数万分の1の確率で出現します。
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黄色いカタクリは西洋カタクリと言われる園芸種のひとつで、和名ではキバナカタクリと言われますが、カタクリの属名である “Erythronium” から、エリスロニウムと呼ばれることが多いようです。
前にニセコの神社で偶然見つけました。植えられたのか、近所の庭先から逃げ出したのでしょうか。
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覗き込むと蜜標の形が様々です。これについては、過去に当ブログでご紹介していますのでそちらを。
→2012/5/3投稿 「道標」
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はれて受粉に成功し、種子を作るとこんな姿となります。
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「種子にはエライオソームという付属体があり、アリが運んで・・・うんちゃらなんちゃら・・・・」
という話しも観察会等でよく聞く話しですが、それはまたの機会に。


花を見て美しさを愛でるのも良し。
せっかく名前を知ったなら、こんな生活史にまで思いを馳せて愛でてみると、また面白いですね。
そのためには、開花していない個体を探す、という楽しさもありなのです。

2016.4. 7 18:25

春の花爛漫

この日は、開花状況のチェック。3日前の状況です。


フクジュソウは、もうすでに実を付けているものもチラホラと出だしています。
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キバナノアマナは畑のよう。(自生ですよ)
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アズマイチゲもキクザキイチゲも咲いています(写真はアズマイチゲ)。
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エゾエンゴサクも咲き出しました。
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ということは・・・やっぱり咲いてた。カタクリ。ニセコでカタクリが咲くには、まだ10日はかかるでしょうか。
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地味で見向きもされませんが、スゲの花も咲き出しました(サッポロスゲ)。
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ここは雪が少ない地域で、日当たりも良く開花が早い場所。
季節はどんどん進んでいきます。ワタシも色々な場所の季節感についていくのに精一杯。

2016.4. 6 16:02

奥まで

この日は下見の日。


通常のツアーでは行かない(行けない)距離を行く作戦。
航空写真でキレイそうな森を見当つけて、羊蹄山麓の奥の奥を目指します。


ここ数年来、ニセコの冬は外国人に大人気。
羊蹄山目当てのバックカントリースキーヤーもとても多いので、歩いた(滑った)跡がまったくなくて、一日誰にも会うことがない、というのが昔よりもずいぶんと少なくなりました。
人のいない所ばかり狙うワタシとしては、「ワタシが滑る時は、ここは通らないよね~」という場所を狙ってルートをとります。


写真ではなかなか表現できませんが、さすがにここまで奥に入ると立派な森です。
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こちらはエゾライチョウの糞。思えば、今年初めて見ました。
昔はよく見たものですが、ここ数年は見る機会が減ってきたような気もします。
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クマゲラのお食事跡。盛大に散らかしてます。
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オシャグジデンダ(大木に着生するシダ植物)は冬の空気が乾燥している間は葉を巻いて蒸散を防ぎますが、春になってくると葉をピンと伸ばします。こんな風景も春ですね。
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そういえば、ニセコでは他の着生シダってなかなか見ませんが、やはり雪が多いせいで着生しずらい、ということなのでしょうか。その割には、オシャグジデンダだけは気にすればそこそこある。
「なんでだろ?」と、そんなことを考えながら他の着生シダを探してみましたが、やっぱりありませんでした。


直径1m半をゆうに超えるオヒョウの木。スバラシイ!!
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狙い通りの、いい森でした。


家に帰る途中、ふと空を見上げると、「なんか飛んでる?チゴハヤブサかな?」と思いきや、ちゃんと見てみたらチョウゲンボウでした。写真はボケボケですが。
これも久しぶり。
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2016.4. 4 18:04

「古道をゆく」

今日は「古道をゆく」シリーズ。おもいっきりワタシの趣味です。


ある時、昭和30年くらいの地形図を見ていると、現在の地形図にはない道を発見!
「へぇ~、昔はこんなふうに道が通ってて峠越えしてたんだ。その道は今はどんなふうになっているんだろ?」
と興味が湧き、こうなるともう行くしかない。
こういう廃道は、夏になると猛烈な笹藪と化してしまいます。夏は調査仕事で道なき道の藪の中を歩いてばかりなんだから、休みの日まで歩きたくありません。
今の残雪期が狙い目なんです。


廃道になって50年近くの道。
昔の地形図と現在の地形図を見比べながら周囲の地形を見て、「道をつけるならあそこの地形だな~」なんてことをイメージしながら彷徨います。
だけどそもそも一面の雪なので、道も何も関係ありません。
“道なんて気にしないで” 歩いた方がラクです。雪の中で “道をたどる” 方が難しいくらい。そこがまた楽し。


出だしのうちは今でも林道として使われている道なので、間違えようがない道。
ミズバショウを鑑賞しながら、余裕余裕。
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林道から外れて、道らしきものがあるようなないような・・・という雰囲気になってきました。
線路が近くに走っているハズ・・・と気にしていたら、ヨーロッパトウヒの植林地があるではないですか。
道内ではヨーロッパトウヒは鉄道林として利用されてきた歴史があるので・・・ビンゴです。
やっぱりすぐ近くに線路がありました。
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実際に歩いていると気付きにくいですが、こう見ると道のようですね。夏は猛烈な藪でしょう。
道幅は狭い所では3mくらいしかありません(一部、道を間違えていたかもしれませんが)。
昔はこんなだったんですね。
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周囲はハルニレ・ヤチダモがメインの林。そして一段上になると、オオバボダイジュやらミズナラやらの林です。
だけどそんななかに、ニセアカシア・ケヤマハンノキ・エゾヤナギ・オオイタドリなどの植物がぽつぽつと・・・。
樹木の識別とその樹木の生態、森林の遷移が分かっていれば、かつて人の手が入った場所がどこなのか・それはいつ頃なのか、おおよそ見えてきます。
ここが道でしょう。かなり分かりにくい場所でした。
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廃道になってから成長したであろう、ヤチダモ一斉林。
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そんなこんなで歩いていたら反対側の林道にビシっと着きました。かなりスッキリ、気持ちがいい。
あとは今も使われているこの林道を使って、峠の頂上を極めました。
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さて、この日は一人で来たので “峠に車を置いておく” なんて気の利いたことはしていません。
また同じ時間をかけて引き返します。
峠を登るまでに片道1時間半程度。往復で3時間弱の道のり。
帰途、車で峠越えをしたら5分程度で越えちゃいました。


先人の苦労を偲ぶ間もなく、互いの町を行き来できる現代。
こんな歩き方も新たな気付きとなって、楽しいものです。

2016.4. 2 15:43

マイナーどころで

ワタシ、マイナーどころの自然観察地が好きです。
「誰も気にしていない、気づいていない」という場所。
1dayツアーに参加したことある方などはよくご存知ですよね。いつも突拍子もない場所に行きますもんね。


先日も、
「一体ここは、一年に何人の人が歩くんだろ?」
というくらい、知られていないマイナー場所を歩いてました。


去年の秋遅くに「こんなところに歩ける場所があるんだー!」と発見し、「春に良さそうかな?」と見当つけていた所です。


予想通り、フクジュソウが見事でした。
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キクザキイチゲがもう咲いています。
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人知れず、ハリギリの大木。
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当然、誰もいません。いるわけありません(笑)
こんなのが好きです。

2016.4. 1 16:42

遠征ネイチャーツアー

結論を先にと言うと……
夏のツアーをひとつ追加しました。


ワタシのツアーで最も自由に動き回れるのは、「1Dayフリーツアー」です。
このツアーでは、ニセコだけでなく、他地域の自然も見ることがひとつテーマにもなっています。
ツアー時間は、朝8時半スタート。そしてどんなに遅くても17時には終了(原則16時半終了)。ワタシ自身の帰宅(終了)時間も18時くらいまでを限度としています。
となると、現地で歩き回る時間を考えると必然的に行けるエリアは決まってきて、時間とガイド料金の兼ね合いから1時間半前後の移動が限界です。
まぁ、それだけでも少し離れれば自然の姿がそれぞれ違うため観察が十分楽しく、ガイド的にはムズカシイのですが(笑)


ただ最近は、この1Dayフリーツアーで対応しきれない範囲でのご要望が稀にあります。
しかしワタシ的には、
「ご一緒したいところだけど、想定外のツアーだけに料金体系がないし、かといって毎回料金を “大体何となく” で決めるワケにもいかないし……」
他にも色々とクリアしなければいけない問題もあり、1Dayフリーツアーでカバーできない場所ではツアーを行なってきませんでした。


「なら、決めちゃおう」
ということで、今回さらなる自由なツアーをひとつ追加した次第です。


今回「遠征ネイチャーツアー」として一日あたりのガイド料金を設定したことで、私自身何時から動き出そうが帰宅が夜になろうがOKとしました。これならお客様の都合次第で、日帰りでもある程度のエリアまで行けますね。
私が個人的に日頃行っているフィールドワーク地まで、行こうと思えば行けちゃいます。
遠方の場所で待ち合わせをして、そこからご希望の場所でツアーを実施することだって出来ちゃいます。
泊まりがけで、さらなる遠出もアリです。


ただ、
・ひとつのツアーにかかる時間が大幅に延びること
・少々特殊なガイド技術や準備が必要となること
から、ガイド料金的にも他のツアーに比べて一線を画しています。


しかし、こんなツアー形態も用意してあることで、お客様の自然を楽しむための選択肢がより増えて、より多様な地域で自然をみる楽しさを味わってもらえれば、と思っています。


※このツアーでは毎回イチから作り上げるツアーとなるため、こちらがお客様の嗜好や体力・装備などについてある程度分かっている必要があり、リピーターのお客様対象のツアーとなっています。


こちらのページの「遠征ネイチャーツアー」をご参考に。
→夏のツアー一覧


(道東のとある沢にて)
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