2020.5.15 15:06

古道をゆく

私には、「古い地図や航空写真・様々な文献などからかつての道を想定して、現地で今の植生を見ながら古道の痕跡を探す」という少し変わった趣味があり、ちょくちょくと調べては探して歩いて―をやっています。
最近一部で有名な、「○○山道」みたいな名の通った古道は行ったことがないのですが。


そんなマイナーな古道に行ってみると、お客さんを連れて歩けるような道でないことがほとんどで、ツアーを実施するわけにもいかず、実際にご紹介出来ないのが残念です。


この日は、地元のマニアック・ナチュラリスト仲間と一緒に、古道探索。
ニセコ(倶知安)に入植した人たちも通ったであろう峠道です。
あわよくば、地元向け観察会なんかで行けたらいいな、というワタシ的画策もあって、ちょうど100年前の地形図と現在の地形図を手に探索です。


実はここの古道は、以前残雪期にひとりで探し回ったことがあって、おおよその "道” は把握していたのですが、雪のない季節に来てみたかったのです。
だけど雪がなかったら極悪な笹ヤブの可能性もあり、クマの危険もあり……ひとりで歩くのはどうも気が乗らず……今回いい具合に仲間を巻き込めました(笑)


かつての田んぼの跡↓。現在生えている植物を見てみると、もしかすると畑だったかもしれません。
地形的にどちらかだったであろうことは明らかですが、生えている植物が周囲とまったく違うことに「ほぉぉ~」と唸るマニアな人たち。
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小さな沢は用水路として利用していたのでしょうか。
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「ハルニレとオヒョウのチビの識別が……」
なんて、誰も聞いてくれなさそうなマニアックな話題で盛り上がってました。
(オヒョウのチビ)
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足元にはオクエゾサイシンだらけ。
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いつしかヤブがひどくなり、予想通りのヤブこぎ状態。
そういう時は写真を撮っている余裕がないので、写真がありません!
なので、状況をお伝えできません。あしからず。


ヤブをかき分けながら歩いていると、突如、橋発見!
前回の残雪期に歩いた時には見つけられなかったもの。
馬そりが一台通れるほどの幅の道でした。
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ふたつめの橋。
周囲や足元の植生を見ながら「多分ここが道だろう」と見当をつけてヤブを進み、突如、間違いなく道の痕跡である橋を発見すると、ある種の感動があります。
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思いがけず、スミレサイシンの群落なんかを見つけて……
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峠の頂上到着。現在の国道5号線に出ました。
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あとは、現在も林道として使われている道をたどるだけ。
余裕・余裕。
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今回は、ほぼ寸分違わずに古道をたどれた自信あり、です。
なにせ雪の時期ではない分、植生を見ながらかつての道を探すことが出来たので間違いないでしょう。
完全踏破達成!


たださすがに、「もう一度行くか」と言われるとビミョー……。
『いにしえの人々を思い描きながら地域の歴史を知り、かつての道に今広がっている自然をみる』という、内容的には面白そうなツアーが出来るのですが、現在の道の状況としてはやっぱりツアーや観察会では行けません。
ヤブをかき分けながら歩く根気と、クマやらダニやらハチやら……色々な覚悟が必要ですので。

2020.5.13 14:45

ニセコの良さ

自宅から車で30分。
スノーシューを履いて、ダケカンバ林を散歩してました。
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風景はいっぱしの山ですが、スノーシューツアーをやっている程度の自然散策レベル。
ツアーよりもソフトかも(笑)


雪をひと通り味わったら、また車で20分程度の移動。
花見です。


マイヅルソウが眩しいほどテカテカです。
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オオバナノエンレイソウが咲きだしてました。
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ニセコ近郊にある、ナガハシスミレ。もしかしたら、かなり北限個体に近いんじゃないかな?なんても思ってますが、キチンと調べてません。今度調べてみようか。
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走っている車もあまりいない道路を行き、誰もいない場所で雪と花を楽しんで、ちゃちゃっと帰宅。
こんなふうに気軽に、バリエーション豊かに楽しめるのもニセコの良い所です。

2020.5.11 16:19

田舎のサクラ

「有名な花見スポットで花見」というのは私の場合はやったことがありませんが、小さな神社のサクラが綺麗だったので車を止めて花見散歩。
ごく小さな集落にある、ごくごく小さな神社。
100年以上前に原野を切り拓いて入植した先人たちは、こんな小さな神社に集まって桜を眺めながら酒を酌み交わし、日々の開拓の苦労を癒やしたのでしょうか。
こんな場所に咲くサクラが好きです。
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カラマツ林も綺麗でした。
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誰もいない。
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2020.5. 9 17:29

「キビタキのディスプレイ」

オオルリに続き、数日前にキビタキもやってきました。


キビタキはとても縄張り意識の強い鳥。
縄張りの侵入者に対して ”パチパチパチ” と嘴(くちばし)を鳴らしたり、”バリバリバリ” と羽を鳴らしたりしながら威嚇の行動をします。
時には人間に向かってすら、肩口をかすめながら飛んで威嚇してくるくらいです。
ワタシも何度か「出てけー」とばかり、ヤラれたことがあります。


こんな鳥が渡って来た直後にまずやることは、縄張りの確保。


同じ種同士での様々な意思疎通の行動は「ディスプレイ」とも言われ、「求愛ディスプレイ」や「威嚇ディスプレイ」などと言われます。


シジュウカラは、オスが巣穴に入りながら自分の頬の白斑をメスに見せつけて「巣穴紹介(求愛)のディスプレイ」をします(”白斑のフラッシュディスプレイ” Hinde,1952)。
『こんな巣穴を用意してみたけど、いかがッスかー?』
といった感じでしょうか。


(シジュウカラの頬の白斑)
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キビタキの威嚇ディスプレイは、先の ”音” 以外にも、腰の黄斑を膨らませたり、尾羽を扇状に広げながら振ったりします。
キビタキの腰にある黄斑はコレ↓。黄斑が膨らんでますね。
(15年近くも前の写真なんで、画質が悪くてスミマセン)
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キビタキを今年初確認した一昨日、まさに、キビタキのオス同士が威嚇ディスプレイをしながら争ってました。
右キビタキ(オス)が左キビタキ(オス)に向けて、盛んに尾羽を広げながら震わせてました。
左のキビタキ(オス)の方が若い個体だったので、チカラの上下関係が見えるようでした。
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鳥も植物も「名前が分かったらもう見るのはオシマイ」ということがよくあるのですが、自然の面白い世界は名前を知った後にあります。
双眼鏡を使って名前が分かっても、双眼鏡を下ろさずに、いつもより数十秒長く眺め続けてみてください。
こんな行動に気づけるかもしれません。

2020.5. 7 16:28

(極)疎

相変わらず「密」とは程遠い所ばかりを歩いていますが、さすがに最近は、近所の森林公園ですら例年よりも歩いている人が多いような気がします。
とはいっても、いつもなら「3時間歩いても誰にも会わない」ところを、「4~5人に会った」という程度なんで、やっぱり「密」とは程遠いのですが。


しかし念の為に、GW中は名の通った自然遊歩道は避け、遠出はせずに家から30分程度以内で「どっかないかな~」と、日頃のフィールドワークの積み重ねを思い出しながら…。


この日はこんな所。
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「この一ヶ月の間に10人歩いたのかな……」くらいの雰囲気です。
山野草が遊歩道上を覆っちゃってます。つま先立ちで花々を避けながら歩く始末。


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当然誰にも会いませんでした。
多分一週間後にまた来ても、その間私しか歩いてないかも……。


奥深い山奥の道でも何でもなく、町から10分程度の散策路、といった道なのに、花に溢れ・鳥に溢れ・誰もいない、予想以上に気持ちのいい道でした。


登山でもトレッキングでもなく名の通った自然探勝路でもなく、特に景勝地というほどのキャッチーな景色も広がっていない―だけれども、足元には里にあるべきフツーの植物が当たり前に咲いている。


通常の観光だったら見向きもされないこんな道を、人間側が自然を見る目を磨いて楽しむ、というのも、これを機会にもう少しピックアップされてもいいのにな、と思います。
私の思う、自然ツアーのひとつでもあります。
(こんな状況で突然ピックアップされても困るので、場所はあえて書きませんが)


私自身は、これまでもこれからもこんな場所の自然ばかりを見て歩いていますので、終息した際には、また皆さまとこんな道をのんびり歩けることを願っております。


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クルマバツクバネソウがたくさんでした。
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ミヤマシケシダのチビが可愛らしい。
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