2019.3.15 16:28

ナチュラリストとのひととき

ナチュラリストって、別に健康志向で身体に良いものばかりを食べている人のことではありませんよ。


数多くのフィールドワークに裏打ちされた高い専門性と幅広い知識、そして探求するための知的好奇心や行動力・人間力などを併せ持った愛すべき自然人のこと。
ワタシの周りにも、私自身敬愛し尊敬するナチュラリストが何人かいます。


先日、そのひとりの徳田氏が、講習会のため倶知安に来てくれていました。
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彼の専門は両生爬虫類。

徳田 龍弘 (著)
トカゲ、ヘビ、カメ、サンショウウオ、カエル―北海道にすむ全19種、最新情報で丸わかり!豊富な生態写真、詳しい解説文、分布域をマップ化、新分類に対応し改訂……

彼とは今まで何度も話す機会もあり、すすきので一緒に飲んだ時には互いのマニアックネタで周りに引かれることもあった、変態・物好きです。←最上級の褒め言葉です (^_^;)


こういう仲間と話していると、「ガイドとして」云々の前に、いち自然愛好家としてもっと歩いて勉強しないとな、と刺激を貰えます。


こんな時間がとてもいい。

2019.3.13 14:16

深く深く

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この日は、「ネイチャー・アカデミック・ヤブキ・スクール」開講。
(今、思いつきで単語を並べてみました)


樹木や鳥の声・足跡など様々な識別にチャレンジし、個々の動植物と環境や地形など様々な自然の繋がりや仕組みを知りたい、という、超・知的好奇心旺盛なお客様のご要望で、ほぼ講習会のような中身のツアーです。


ツアー中はひたすら質問してきてくれるので、結果的に目についたものすべてを見分けていくことに。
ガイド的には「ヒェ~」って感じですが(笑)、試されているようで楽しい。


だけど、ただ名前を覚えるだけではなく、そもそも何で識別する必要があって、
識別する先にどんな世界が広がるのか。
そのための見方や観察のポイント、
植物を見分けられるようになるコツや覚え方まで。


ワタシも滅多に開けない引き出しを開けて、滅多に使わない単語を使ってツアーをし、4時間かけても数百mしか歩いていません。
たぶんフツーの人はうんざりしそう。ガイド講習だってここまでやらない、というくらいですから(笑)


自然を歩く楽しみは、風景を楽しむだけでもよし、雰囲気を味わうのも良し、「かわいい~」と感情的に楽しむのも良し。スポーツ的にアクティブに楽しむのも良し。
だけど、細かく見る技術と知識を磨いて、人の見えてない世界に気づいて知的好奇心を満たし、さらなるフシギに気づいてさらなる知見を増やし……これもまた楽し。


マニアック万歳!

2019.3.10 15:51

奥の奥

この日は馴染みのお客様。
いつもは厳冬期にスノーランブラーをしに来てくれるのですが、そのたびにワタシが、
「春のスノーランブラーもいいですよ~。スノランで ”滑って遊ぶ” には春が一番!」
なんてそそのかすもんだから、春雪狙いで来てくれました。


装備も体力も歩くペースも良く分かっていて、さらにはスキーも上手な方なので、森の奥の奥にある「ヤブキゲレンデ」に行ってきました。


ワタシ、ニセコの森にいくつか「ヤブキゲレンデ」を持っています。って、ワタシの土地ではありませんよ。誰も行かないからワタシが勝手に言っているだけです (^_^;)
そこは、森の中のプライベート・スノーランブラー専用ゲレンデ。
「スキー」として滑るにはつまらない―、スノーシューでは行けない―、いい森に囲まれていて―、スノーランブラーでも危なくない斜度だけど、それなりに滑っちゃう、という絶妙な斜度と面積と長さが必要です。要は、森にぽっかりと空いたただの斜面です(笑)


だけどそんな場所は、スノーランブラーで遊ぶには最高な場所なんです。
誰も知らないし、あえて行かない。だから静かでいい。


その中でもここは特に歩く距離が長く、ツアーでは今まで一度も行ったことがありません。
秘密の場所ってワケではないけど、ツアーではなかなか行けるタイミングがないので、結果的に秘密の場所みたいになっています。
厳冬期には行けないし、行く気にもならない。春限定。厳冬期に一度だけ一人で行ってみたけど、うんざりしました。


そんな場所。


「遊びに、ヤブキゲレンデへ」といっても、やっぱりスノーランブラーは自然を見るためのスキーなので、行くまでの道中ではしっかりと個々の植物や鳥、森全体を見ながら歩きます。サクサク歩かない!ハイペースで歩いちゃダメ!
だけどそれなりに歩かないと着けない!(ムズカシイ…)
春の歩きやすい雪を感じながら、自然を見ながら、お喋りしながらがやっぱり大事です。
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ヤブキゲレンデの手前周辺は、とてもいい森で美しい。そんなトコロを見ながら歩いて、さらに奥へ。
とてもスノーシューでは行く気にならない距離感だし、地形にまったく特徴がなくピークを目指しているワケではないので普通迷います。ガイドが迷ったらおしまいなので、さりげなく気をつけながら(笑)
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昼も過ぎた頃、到着!
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春の森でゆっくりお喋りしながら昼食を済ませ、あとは……スノーランブラーで、「滑り大会」!
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そもそもスノーランブラーの板は滑るためモノではないし、取り扱い易さために板の長さは短くなっていて、そのためバランスが取りにくい。
踵だって固定されていません。当然スキーブーツなんぞ履いていなくて、ただの靴。
スノーランブラーで滑るのは超ムズカシイ。


通常のツアーでは、ワタシの方でフィールドや斜面を選びながら「ターンなんてしなくてもいいですよ~」で済む場所でやっているのですが、今日はせっかく滑れる人なので滑りにチャレンジです。
スキーが好きな人なら、ここも面白いトコロです。
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滑っては登り返して、また滑って…を何度やったでしょう(笑)
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すっかり上手くなりました。
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いい笑顔。
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スポーツとしてのスキーではなく、自然の森を移動するための道具としてスキーを使い、誰も居ない森で気の知れた仲間だけで遊び、なおかつ周囲の自然をしっかり見て・知る……こんな自然の楽しみ方もいいものです。


これだけ上手くなれば、帰りなんてあっという間。
町でお茶してさらにお喋りを楽しみ、充実の一日が終了。
誰も行かない森の奥まで歩いて、一日中滑って遊んで…だけどキチンといろんな森も見て自然を知る。
そしてさらに、スノーランブラーの機動力と遊ぶ幅の広さを体感してもらって、ワタシも良い一日でした。
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2019.3. 8 16:51

背中合わせ

コゲラって、あまり人を恐れず近づいても逃げることもなく、いつも一心不乱に木を突いている可愛いヤツ。
たまにギィーギィー言うくらいで声も姿も地味、数も多いし、家によっては庭にも来たりして、鳥写真マニアからは「あ~、コゲラね…」程度の扱いを受けることもあります。


これがクマゲラだったら「きゃー、クマゲラぁぁー!」などと騒がれ、「天然記念物」「環境省絶滅危惧種」「日本最大のキツツキ」などの冠が拍車をかけ、羨望の的となります。


しかし世界的に見れば、クマゲラはユーラシア大陸に広く分布しているキツツキで、コゲラは東アジアの一部にしか分布しないキツツキ。
世界的な分布でレアなのは、コゲラ。
英国の紳士淑女バードウォッチャーが憧れる鳥も、コゲラなのです。
日本でもコゲラに黄色い声が飛ぶ日が来ることを切に願います。


そんな人間の態度は当のコゲラはまったく意に介さず、今日も一心不乱に木をつついています。
そんな ”超” がつくほどマイペースなアナタが、私は大好きです。


アナタはいつも背中を向けてますが。
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2019.3. 6 14:05

この上ない

自然ツアー一本で独立する、なんて物好きなガイドはなかなかいないので、独立当初は『どうすればやっていけるのか・どうすべきなのか』、ワタシなりによく考えました。


自分が思う自然ツアーの楽しさって何よ?というのが、「ツアーについて」ページにある、あの最初の文言。


自然の美しさに感動し、
みる楽しさに気づき、
知る喜びを味わう。


標語のような文言ですが、一応オリジナルです。
理想は至極当たり前で、シンプルがいい。
独立以来ずっと、すべてのツアーで必ず目指すようにしています。


ワタシの技術不足のせいで結果的に提供出来なかったことはあっても、ツアー前にはここを目指せるツアーをご提案し、どうやっても提供出来ないであろうツアー形態は始めからやりません。ここは10年以上、譲らないトコロ。
だからたとえ、林道の道端だって、一般的な ”自然の美しさに感動” は出来ないけれど、”見て・知る” ことが出来るのなら、ワタシ的にはそんな場所での自然ツアーもアリなんです。


この日はピーカン。
大展望のような美しさもあり、小さな美しさもあり――最高の一日。
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でも、ただ美しい自然に感嘆するだけではなく、キチンとみる楽しさを味わい――、
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知る喜びを。
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翌日は急遽お友達を連れて来てくれ、3人で自然散策。
ゆるゆるな雰囲気の中でも、キチンと見て楽しんでました。
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こんなツアーは、大人数でのツアーや決まった場所だけでのツアー、プログラムされたツアーでは実現出来ないと確信しています。
だからオリジナルになります。こんなスタイルを自分の色にしたい。


ツアーが終わってから、参加してくれたお客様がこんなトコロをぼやーっと感じてくれたなら、ワタシとしてはこの上ない喜びです。

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